巨大な水腎水尿管症 

水腎症による腎盂の拡張

本記事は過去に書いた内容に最新(再診?)情報を追加して更新しております。



先日、大げさな見出しでブログを書きました。
結石常連の俺が真の激痛を知らなかった本当の理由

そのことについて少し書きます。

水腎水尿管症とは 

人間は体内を血液が巡っていて各臓器や細胞にさまざまな物質を送り込んでいます。この血液に混ざった老廃物は腎臓で取り除かれ、老廃物は尿として体内に排出されます。

腎臓で作られた尿は尿管を通り膀胱に貯められ、尿道を通って体外に排出されます。
この流れが何らかの理由で阻害されると、尿が滞留する訳ですが腎臓が尿を作り続けるので尿の行き場が無くなって、だんだん圧が高まります。

水道の蛇口をひねった状態で、ホースのどこかを押さえるとそれより前の部分の水圧が上がるのと同じですね

私の場合は定期健診6ヶ月毎

左腎臓が肥大かつ左尿管が巨大化してます。先生によると巨大水腎水尿管症と呼ぶそうです。病気ではなくそういった症状になっているということです。

従って、治療薬とかはなくその症状によって引き起こされる合併症が酷くならないよう定期的に経過観察するということになります。

経過観察は合併症がでなければ6ヶ月に一度 何か起きれば1ヶ月に一度の頻度で、尿検査とX線検査とするといった具合です。

私の場合はこの症状がわかってからかれこれ10年経ちます。経過を観察するのみで治療もできないので定期的な検査のために通院するのみです。

2020年5月25日に定期検査に行ってきたので、同じような症状の人の為にX線写真を掲載しておきます。(ここまで巨大な水腎水尿管症の人は稀かと思いますが...)


X線写真の説明をします。4枚の写真の左下に番号があります。

〇10⇒〇20⇒〇30⇒〇30↑

この順で時間経過しながら観察しています。点滴で放射性医薬品を血管内に注入し血液が腎臓に到達後、尿として排出される状況を時系列にみれるアイソトープ検査(ネフログラム)というものです。

左腎臓から放射性医薬品の排泄がうまくできていないのが分かります。これは水腎水尿管症になっていることが分かった10年前の自分自身の写真です。

判明したこと


  • 左腎臓が腫れて巨大化している
  • 左腎盂も拡張し形状も変形している
  • 左尿管が拡張している
  • 左尿管と膀胱の接続部(逆流防止弁)の異常が推定される

何が腎臓と尿管を巨大化させたのか?



尿の滞留は左の膀胱にある逆流防支弁が原因でした。
通常は膀胱に溜まった尿を出すとき、膀胱が収縮してポンプのようにおしっこを出します。

但し、収縮する過程で膀胱の尿が腎臓に逆流しないような弁が付いてます。
(上の図には弁は書いてませんが、あります。)



つまり尿管と膀胱の間に弁(バルブ)があるわけです。一方通行しかいかないように上手くできてますね! ところが私の場合は左側の逆流防止弁が通常状態でも通りにくく尿管から膀胱に通る部分が狭い(狭窄)しているとのことでした。

このため弁の上流にある尿管と腎臓に尿が滞留しやすく、常に圧が高い状態でした。
長年にわたってこの状態だった為、腎臓と尿管が巨大になってしまったとのこと。

長期に渡って少しずつ大きくなり強大化してしまったので元に戻ることはありません。
専門的なことをもっと知りたい方はこちらを参照くださいね。

発見と診断確定のプロセス

この症状があることに気づかせるきっかけは勤め先の健康診断でした。約10年前に健康診断で尿検査で血尿、淡白、その他もろもろ悪い結果が出たのです。

それまで会社を休むことはほとんどなくインフルエンザや風邪も引かない体質だったので非常に驚いたことを今でも覚えてます。

病院での一連の検査(X線CT,MRI,腎シンチグラム)を行いましたが、なぜ膀胱の直前で狭窄があるかは不明でした。

当時は、最悪腫瘍による尿管狭窄(もしかして癌?)かもと言われ、原因の特定をするには内視鏡を先端から入れるしかないと言われ、その検査ゆえの激痛を体験しました。

この痛みは体験した人はもう二度とやりたくないと言いますよね。(笑)
当時は子供も小さく、検査前は癌かもしれないと勝手に思い込み、ビデオをセットしてビデオレターを子供に残すか...とかマインドが悪い方向に転がりそうになったことを覚えてます。



最終的には先端から内視鏡を入れて尿が通り難いのは先天的な原因でした。
実施した内視鏡検査は部分麻酔するものの、大事な部分は麻酔の効きが悪いため二度とやりたくないという人がほとんどでしょう。

尿の滞留の影響は?

尿が滞留して内圧が高くなるので腎臓が肥大します。肥大すると尿のフィルター機能が少しずつ低下します。私の左腎臓は右の正常側に対して1.5倍程大きくなっており機能は正常側の半分程しかないそうです。

医者に言わせれば右が正常なら全く問題ないが、フルマラソンはやらないでねと言われました。 もともと走るの嫌いですフルマラソンなど挑戦しません。(ボソ)
それに腎臓の上側には副腎皮質ホルモンを作る臓器もあるので大事にしないとね!

尿管が巨大化すると尿を膀胱に送り込むポンプのような収縮運動をすることができなくなりますます尿が滞留しやすくなります。

私の場合は子供のころから狭窄状態がそれほど酷くない状態でで大人へ成長していった為に、巨大な(太い)水尿管状態であるにもかかわらず、管の収縮運動がまだ活発に機能しているそうです。

先生も驚いていました。診察のときに学会へ報告するレアケースですか? とたずねるとニヤリとしてました。

通常大きな病院では症状が安定すると町医者への転院を進められますが、10年間そんな話をされずに経過を見たいと言われ大きい病院で定期検査している理由としては、経過観察で症状を見ておきたいという先生の医学的興味が強いのかもしれません。

腎臓結石との関係を話しますと、尿が滞留してますから結石はできやすいです。
私の場合も1.5倍に大きくなった腎臓の壁に15mm程の巨大な結石が食い込んでいるのがX線で素人の私でも確認できてます。

この石が落ちたら本当にやばいのですが、慢性的に腎臓が腫れていて腎臓内部で押さえ付けられているので若干は移動したりするようですが落ちる気配はありません。
(下記写真は2020年5月25日撮影)



巨大な尿管の状態

点滴で放射性医薬品を血管内に注入した状態の写真をもう一枚紹介します。(笑)
このX線では股関節が先ほどの写真と角度が異なってますよね。

この写真撮影時は私はM字開脚状態でした。大切な先端から内視鏡を入れられて激痛に耐えながら膀胱奥の逆流防止弁を観察された状態です。

なぜ内視鏡を大切な先端部分からいれて観察する必要があったかと言いますと、逆流防止弁の異常が先天的なものなのか、癌化した細胞によって尿が塞き止められたのかの確定診断をするには..

『直接見るしかない!』と信頼するお医者様のお言葉があったからです。(ボソ)

検査受ける前から、先生から

『麻酔はするけど大事な先端までは麻酔が効かないので相当痛いよ』とニコニコしながら言われるので覚悟していたものの、それを10倍以上超える痛みを体験しました。

痛さを耐える為に診察台にM字開脚状態、左右には痛みを耐える為に握る?ことのできるグリップがあるなど、俺は出産するのか?と思う状況だったことを今でも覚えてます。

結論としては逆流防止弁に癌は無し。先天的に弁が細いということで確定診断が完了です。その後は先端からひたすら血が流れるので1週間ぐらいは内股で歩いていた記憶があります。

後で先生から聞いた話では直径3mmぐらいの内視鏡もあるけど、視野角が優れる直径5mmの内視鏡を使ったとのこと。3mmにして欲しかったです...(笑)

それにしても尿管が太い。太すぎる...通常は直径1~2mmですよね。



恐怖の腎盂腎炎

最後にもっとも怖い腎盂腎炎について説明します。
結石が原因で尿管を全て塞ぐ、または腫瘍ができて尿管を塞いで狭窄を起こす。尿が腎臓から排出できない。もしくは膀胱から逆流する現象起きると腎盂腎炎になり易いことが知られています。

腎臓に滞留すると尿道や膀胱からの細菌が体内に入りやすくなります。そして腎臓の組織が細菌に侵され始めます。 

体は非常警報を出し始め、高熱やだるさが毎日続く症状が続きます。私が初めて腎盂腎炎を経験したのが5年前ぐらいで40℃に迫る熱が2日続き、それでも仕事に行ってました。

熱は引かないまま3日目も出勤したのですが、流石に相当ヤバイ状況で尿の濁りも半端なかったので病院に行くと(大病院は夕方やってないので近くの泌尿器病院)、緊急点滴で抗生物質を投入要と判断され点滴を1本打つ毎日を4日続けました。

その時に検尿するように言われたのですが、白血球と細菌が戦った残骸なのでしょうか、おしっこというよりは小麦粉を水で溶いたような少しドロドロした状態のものしか出なかったです。これを見た先生からは『ここまでよく耐えてましたね』と厳しいお言葉。

とは言え仕事も忙しい時期だったので、水分補給と抗生剤点滴をした後に仕事に戻るというと先生はあきれていました。

その後、2回経験した腎盂腎炎ですが、2回目と3回目は予兆で自己判断できるのですぐに病院に行って事なきを得ています。

対処(初動)を間違えなければ腎盂腎炎も恐れる必要はないのですが、私が無知なとき(1回目)は腎臓のダメージが大きくて、CRPが10を超えてました。(CRPは細菌が体内で暴れた状態での炎症度合いを示す指数です)

腎臓と血管は常に繋がっています。循環器系に細菌が入るとあっという間に体中に巡ります。腎臓機能が低下するのと細菌が体を巡るので一気に体調が悪化します。
40度以上の高温になったり、意識が朦朧としたりします。

この時はクラビット錠500mgを5日間飲んだ覚えがあります。

なぜ左腎臓の結石が落ちても激痛を感じないの?

やっと本題です。(話が長くてすみません)
左腎臓にはずっと結石がありました。但し、結石が落ちても(3~5mmの結石)尿管がそれ以上に太いのです。つまり引っかかりません。痛くない理由がここにあります。

正常な尿管の直径は1~2mmです。この尿管に結石が落ちれば激痛ですが、私の尿管は太すぎて結石が落ちても全く痛みは感じません。

但し、逆流防止弁を石が通過する一瞬の激痛や尿道から石がでるときの違和感は経験してました。

ところが、その後に患ったアレルギー性気管支肺アスペルギルス症の治療薬として飲み続けたプレドニン(ステロイド)の影響で話が変わります。

プレドニンの副作用でカルシウムが血液中に常に多い状態だったため、正常だったはずの右腎臓に結石ができました。そして正常な太さの尿管に落ちました。

とんでもない激痛を味わったのです。この痛みは今回初めて味わったのでした。

さて、なぜ右側に結石ができたのかって? それはこの一年間飲み続けたプレドニンというステロイドが影響していたのです。このプレドニンを飲んでいる(飲んでいた)理由はまた個別にブログで書いています。

予後

このまま尿路の狭窄があると、少しずつ左腎臓の機能が弱くなります。狭窄部を外科的に改善する方法もありますが、先生はお勧めしていません。

理由は私の場合は狭窄が軽微であり尿管のポンプ機能も健在であることから80歳90歳まで生きるとしても、その頃には左腎機能はまだ2割は残っているでしょうとのこと。 

本当にこのまま経過観察でいいのか? 10年前は悩みましたが、10年経って腎機能は10年前とほぼ同じとのこと。 まあなんとかなるものですね!

これからも定期的な通院をして腎盂腎炎だけは気をつけていきたいと思います。
最近はコーヒーじゃなくてお茶を意識してたくさん飲んでます。そのおかげかは分かりませんが、定期検査でおしっこはとても奇麗で濁りもなく良い状態とお医者様から言われてます。

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