純正デジタルメータの故障と分解 XR250

XR250多機能メータの実装密度が凄い 

XR250やBAJAの純正デジタルメータは下記持病(故障)があることはネット徘徊時にある程度情報を持っていました。その故障症状とは

  1. 液晶表示のパネル劣化が早く、曇ったりひび割れて見難くなる
  2. 黒色筐体の表面がひび割れてくる
  3. 初期ロット1996年迄の製造?は走行距離計がリセットされるものがある
  4. 上記③は温度が低くなる冬場に顕著に表れる(使用ICの温特劣化?)
  5. スピード表示部や時計表示が変な数字になる
  6. 最終的には液晶自体の表示がされなくなる

我が家のXR250も症状1や2が発生していたので樹脂部を研磨したり、カーボン調シールを貼って見栄えを整えていましたが、3~5を飛び越えて一気に症状6が勃発しました。

2chや海外のWEB情報を閲覧しまくったのですが症状6に対しての対処方法を見つけることができません。当然配線側の接触不良(端子部腐食、導通不良)も全てチェックしたのですが車両側に問題はありませんでした。

症状3~5に対しては基板上の電解コンデンサーを新品に変更すると改善する場合があるという情報や、表示が全灯表示のままで動かなくなった場合はR13(30Ω)がオープン故障が原因という情報もありました。

取り敢えずメータを分解して内部基板を観察することにしました。驚きましたよ~ 想像していた以上に実装密度が高いです。この当時のバイクにおいて、しかも250ccクラスのオフロードバイクのメータでマイコンや汎用ICを採用したバイクは稀だったと思います。

筐体分解

バイクからメータ本体を取り出します。袋ナットを2カ所緩めると取り外しできます。バイク本体側のハーネスとカプラー(コネクタ)3箇所で結合されているので3つともカプラーを外します。

裏側はカプラー3個のみ、アナログメータのような車軸の回転を入力する同軸ケーブルが付く部分は(当たり前ですが)ありませんね~

デジタルメータ搭載のXR250は同軸ケーブルが別の部品(速度⇒パルス変換のエンコーダ)と結合されており、この部品からデジタルパルスが出力され、このデジタルメータの3端子カプラに入力されてます。(下記写真の黒色3端子がそれに相当します。)

ホンダのHP上で古い資料を見つけました。
ちなみに、青い3端子のカプラーはCDIともつながっており、キャブレターと一体化されたスロットル開閉度を検知している信号のようです。

メータ内部でスロットル開閉度何かに使っているかというと、ほとんど影響はないようです。というのも、デジタルメータをアナログに変更してエンジン出力、レスポンス等に変化を感じたという書き込みは見当たりません。

カプラーの信号(まとめ)

茶色4端子、黒色3端子 青色3端子 茶色4端子の各信号は先人が調べてくれてます。ありがたく参照させて頂きました。ちなみにメータ側のカプラを見た絵になってます。
(信号と端子配列の確証ないので、弄る際は個人の責任において行ってください。)

内部基板を取り出そう!

メータ筐体裏のネジ6本と取り外します。錆びてネジ山がつぶれてしまいそうです。プラスドライバーを回すときは最新の注意でお願いします。
電子基板は湿気に弱いので筐体と裏蓋の接触する部位全周がOリングで封止されており、水や湿気を考慮した構造となっていました。

但し、Oリングも23年の月日が流れ、ゴムの弾力性は残っていません。潤いもなくボロボロ、カサカサ状態です。(悲)
Oリングのホンダ純正部番は37211-KCZ-J21とのこと。
純正のお値段は調べてないけど、同サイズでよければたぶん下のOリングを購入しても使えるという噂があります。ちなみにモノタロウで検索してみました。  NOK製で品番:CO0220A だとか
※後日 NOK製のCO0220Aを発注して装着したところドンピシャでサイズ合いました!
参考までに写真載せておきます。お勧めできます。

電解コンデンサーの交換

さて中身の確認です。ここ1週間以上に及ぶ長雨は各地で記録的な雨量となり、三河地方でもずっと雨が降り続いていました。

メータも劣化してきて基板に水でも入ったのかと心配しましたが、ケース内部に被水の兆候は見られません。

とりあえず電解コンデンサの容量抜けを疑って全て交換することにします。(赤〇印)

ちなみに青〇印のコンデンサは高級品?が使われているようだったので、性能低下はないだろうとそのまま交換せずに使います。
220μFの表面実装タイプのコンデンサを取り外しする際にハンダ付けで使うパットを一部剥がしてしまった近傍のレジスト削って銅色の接触部(ハンダ付け部)を作りました。交換要コンデンサのリードはここにハンダ付けします。
そして、液晶ユニットが載る側の面をチェック! 同様に赤〇印の電解コンデンサを交換します。基板にはスタンレーの文字が...(青〇印)

1997年当時に灯火系部品を作っていたスタンレーがデジタルメータを手掛けていたなんて、 ちょっと驚きです。
とりあえずターゲットのコンデンサを全て交換(実装状態は仮取付)しました。
<豆知識>
実装されていたコンデンサ(C)の容量をメモしておきます。
実装面
 220μF(35V)×2 ⇒ 330μF(25V) 105℃品
 22μF(10V)×1 四角型 ⇒ 変更せず
 1μF (50V)×1 ⇒ 1.5μF(35V) 105℃品
スイッチ面
 100μF(35V)×1 ⇒ 100μF(35V) 105℃品 

容量的に全く同じという訳ではありませんが、発信回路とかに使われているとは思えない。たぶん12Vや5Vの電源系の電圧安定用と考えて大丈夫と考えた上です。

要は手持ちの有りあわせのCを使っただけです。ところが、ここで重大な間違いを犯していたのだった。

修理は成功? or 失敗?

そしてバイクに取り付けてキースイッチON!  ダメです。全く表示しません。(泣)
ちなみにR13の抵抗値も問題ないことは事前チェック済み。

とりあえずオシロスコープとか信号を追える機材もないので、ここまでやって『THE END』直ぐに何かできる状況ではありません。

ちなみに液晶モジュール側の接触不良も疑ってパネル部も分解してみましたが、接触部は全て金メッキ(コスト掛けてますね~) 腐食もなく液晶部と基板部の接触はOKと判断しました。
液晶のバックライトは、サイドから光源を当てて、液晶側に光が透過するようにプリズムで90度光を屈折させるというローテクだけど面白い方式でした。(笑)
思い起こせば旧タイプの液晶はこんな構造でしたね~

代替メータの検討

純正メータは数年前の情報で新品で5~6万円とのこと。今に至っては補給部品として手配できるのかさえ分かりません。価格面から新品購入は無しです。(笑)

XR250も第3世代以降?は良くあるアナログメータに変更されており、ヤフオク等の中古品の球数は少ないです。

そうなると、純正品のアナログメーターに変更して、速度を検知は同軸ケーブルの長さを調整してメータ裏まで引き込む必要があります。

やっぱ中華製の格安デジタルメータでしょうか?(笑)アリエクスプレスで代替メータを探す日々が続きそうです。良さげな品が有ってもメータが届くのは1ケ月後です。

気長に中華製の格安メータ換装計画を練ることになりそうです。
実際に走行する上ではメータ表示無くても特に困りません。

走行時に頻繁に速度計は見ることもなく、周辺の車やバイクの流れに沿って走りますし、速度や走行距離はスマホナビを装着して走っているので画面に表示可能です。

但し、法的には整備不良車両になってしまうので早急に対応が必要ですね!

代替メータ

速度計と走行距離が分れば何でもOKと考えてます。アナログタイプが好きだけどオフ車のように衝撃が加わりやすいので可動部がないようがいいのかな?(笑) 

そうなるとデジタルタイプとなりますが、既存の(車速⇒パルス変換)エンコーダーの信号がそのまま使えるものがいいですね~ 

とはいえ人柱の宿命でしょうか、頭の中が『?』マークで埋め尽くされて、悶え苦しみながら作業を進めて、結局それを楽しむ状況となりそうです。(爆)
2021年9月12日 追記
社外メータを無事にXR250に実装できたのと、雨降りでメンテもツーリングもできないので前回コンデンサーを付け替えた純正メータを再チェックしてみました。

電源を供給してみると、やはり何も表示されません。

リセットスイッチを何度か連打してみると、メータの液晶部に表示が戻って時計は機能していることを確認できました。このままバイクに戻せば全機能問題なく動くような気がします。 

リセット連打前に電源OFF状態にて基板上で処置したことは
①ICピン間に少し白っぽい粉があったのでアルコールで綺麗にふき取った。
②ICピン間に針の先を入れてウィスカとか微細な導電体でショートしてないか全確認。
の2つです。②に関しては怪しい箇所が数カ所ありました。
リセット系のパルスが入らずにICやマイコンが起動しないのかとか妄想しながら、再現確認すると、またしても液晶が付きません。

2~3回はこの方法で表示があったのですが、その後電源落として再起動するとまったく表示がもどりません。何が故障しているのかな~

12V、5V電源ラインが問題ないところまでは確認できてます。このぐらいの確認なら簡易デジボルでできますので...

この日はこれでおしまいです。24時過ぎたので寝ました。(笑)
最初に液晶に表示出たときの記念写真です。メータが壊れる直前のODOメータの値を失念していたので、全走行距離が分ったことだけでも良かったとしましょうか? またの機会に故障箇所を突き止めたいと思います。
覚書:全走行距離は 38671 km
翌日9月14日に朝目覚めて直ぐに電源投入し服を着替えながら振り返ってメータを見ると、何とメータが起動しています。

一体何が悪いのだろうか? 最近は雨ばかりなので基板のどこかが腐食やマイグレーションとか起こしていて外にもリークしたりしなかったりしている部分があるのだろうか?
朝早い時間(出社前)に確認できたことは
  • BAT
  • ACC
  • IGN
の端子に同時に12V印加すると20秒ぐらい待っていると液晶表示が確認できました。
BAT(車両上では生+B)を印加したままで、20秒以上放置した状態でACC,IGNに電源供給すると直ぐに液晶が表示されました。

つまり昨夜のリセットスイッチうんぬんは全く関係ないことが分ります。人間の思い込みとは恐ろしいものです。

起動できた次いでに電源ONのまま連続通電試験を始めます。そのまま職場に出勤しました。(笑) 帰宅したら液晶が表示されたままなのか? それとも消えてしまっているか?
運命は如何に...

もし、液晶表示がされたままだったら、基板にヘアドライヤーの温風当ててみたり湿度の高いバスルームの中で10分放置してみたりして状態がどうなるか確認してみます。

変化あるようだったら基板が怪しいのかな?(笑)
2021年9月15日追記

連続通電では異常は再発しませんでした。電源を完全に落としても電源投入で20秒待ては必ず液晶が付くことが分り、常に再現性のある動作となりました。

自問自答
起動が遅い?⇒ICやマイコンへの通電が遅い?⇒時定数が長い?

頭の中で妄想が始まります。あれ? コンデンサ容量を変えた部分の回路のマージンが少なくて起動リセットパルスか各種ICの動き出すタイミングがおかしいのか?

もう一度、コンデンサ容量をチェックします。
  • 220μF ⇒ 330μF 12V電源だからこのくらい容量違ってもOKのはず!
  • 22μF (四角型)⇒変更してないから問題なし!
  • 1μF⇒1.5μF これもOKのはず。なぬ! ダメだこりゃ 
何という失態...老眼で小さい字が見難くなったとはいえ15μFを1.5μと勘違いして基板に付けていました。

この瞬間に20秒経過するとメータが起動する理由が分りました。

この1μFのコンデンサが作り出す時定数が15μFを取り付けたことで時定数が10倍以上長くなったな! 『これだな』と確信しました。
いろいろ書きましたが、要はブログ主がアホだったという結末...

故障原因は基板のどこかがリークしていたという可能性大です。雨降り続いた後にメータが故障したことと、基板とICファインピッチ端子間の絶縁確保後に動き始めた為。

起動が遅くて完全に修理できてないと思い込んでいたのは、単純にコンデンサ容量を一桁間違ってつけちゃったというボンミス。

ということで1μFのコンデンサに付け替えて解決! と書きたかったのですが1μFが手持ちになくて2.2μFしかありません。

まあ容量が2.2倍でもいいはずと考えて、基板につけて再確認です。

<結果発表>2.2μFでの起動時間は約3秒(これなら十分許容範囲です)

これにて回路部分の修理は完了とさせて頂きます。
後は防水の為のOリング発注(NOK製 品番:CO0220A)と黄ばんだ液晶表示部の樹脂の研磨で透明度復活ですかね~

机上で何度も確認したので修理完了の自信はありますが、採取的にはバイクに付けて動作確認したいところです。
でも、社外メータ付けちゃったし...社外メータが壊れてからの出番となりそうです。

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