PENTAX K-S2の持病が慢性化

K-S2も写真が暗くなる持病あり?


対処療法も限界だ!

前回はライブビューボタン(LV)を何度も押してファインダーと液晶表示を切替するとその内に絞り羽が正常になると書きました。

ところが最近ではボタン連打方式でもまったく症状が治らなくなりました。写真を撮りたいシーンで正常状態にならず使用に支障が出始め困っています。

ネットを徘徊していると過去にブログで書いた K-S2 絞り羽が開かない時の対処法
に関係するであろう記事を数多く見つけることができました。

持病というのは 『撮影した写真が暗くなってしまう病気』のことです。
この病気はPENTAXのKマウントの特徴である機械連動式絞り制御に起因しているらしいとの情報を得ることができました。誰が命名したかは不明ですが『黒死病』と呼ばれているようです。

また、この病気に侵されたPENTAXのKシリーズカメラが結構な数に上っていることが判った。いろいろなブログやホームページ、掲示板を読めば読むほど所有してりうK-S2で発生している症状そのものだったのです。

主たる原因

絞りを制御するユニットが故障して絞り羽を絞りMAX(光量を絞る側)にしてしまう。
光量が十分ある環境でも制御部がおかしくなって最適な絞り量に絞り羽を調整できない病気である。

発症した時にはどんなに明るい景色をとっても下記のような感じになる。最悪時は真っ暗な写真となってしまう。

暗いです。絞りすきで光がカメラの中に入ってきてない気がします。

先人たちの記事をググってみると、『絞り制御部の故障』という大ざっばな表現ではなく原因箇所まで特定したブログを見つけました。 その時は聊か興奮したのを覚えています。

実に興味深い考察だったので自分なりに理解したことをまとめてみたいと思います。
絞り制御不具合の主たる原因はブレーキ電磁石ユニットらしい

ブレーキ電磁石ユニットの構成

  • 馬蹄形連動金具
  • ネオジム磁石
  • 固定ネジ
の3つで構成される。

ブレーキ電磁石ユニットの役割

絞り機構のブレーキON、OFFを制御する。正常動作しないと開放から絞り最大方向に絞り羽を閉じようとする動作時に制御信号通りに動かずブレーキが掛からない。

すると勢い余って最大絞り状態のままになる。 これでは十分な光量がある環境下でも真っ黒な写真となってしまいます。

絞り制御のメカニズム

  • シャッターボタンを押す
  • 最大絞りまで絞り羽が動く
  • 内部のギアが回転して適切な絞り値となるようにギアを回転させる
  • 適正な絞り値となったらユニットのコイルに電流を流す
  • コイルの磁界でネオジム磁石で固定されていた金属編がコイル内部に引っ張り込まれて絞りを調整する機構を停止
  • ギヤ停止でシャッターが切れる
絞り調整機構のSTOP&GOを担う金属片電磁石ユニット内にある。
この金属片はコイルの磁界により動く。

ネオジム磁石側にくっついたりコイル側に引き寄せられたりを繰り返す。
この動きにより絞り羽調整ギアを動作開始と停止を決めている。

但し、ネオジムが強力過ぎるのが原因なのか長時間この強力な磁界に金属片が晒されると金属片自体が磁化されて正常な動作ができないという故障メカニズムが推定される。

考えられる修理方法

ブレーキ電磁石ユニットの交換
ユニットは日本製(白色)と中国製(緑色)があり、古いフィルム世代のカメラから同じ電磁石ユニットを移植すれば直るらしい。
その他詳しいことは最後尾の参考としたリンク類を見て頂きたい。

いざ出陣!修理依頼に出かけよう

ここまで分かれば、所有しているK-S2は修理に出すしかないと考えました。
バイクや時計の修理はDIYで対応可能ですが、さすが精密部品の塊であるカメラを開けるのは気が引けます。

このままウジウジしていても仕方ないので、拝見したブログ情報を元にカメラを購入した大型家電店に相談に行きました。

2019.2.3のことです。相談した内容は下記です。

①今まで2回点検に出したことがある。
 家電店でカメラを購入:2017.1.9
 長期保証は加入済み:2020.1.8迄

②1度目の点検時(2017.06.20)に写真が暗く写る場合があると家電店で打ち上げた。
 (その時の書類を見せる。画像が暗い記載あり)


③家電店経由で修理技術認定点にて点検したが、不具合現象が再現せずに返却された。
 フォーカス甘いとのコメントが書いてあった。
 PENTAXの修理技術認定店IST:イストテクニカルサービス株式会社


 

④2度目の点検(2017.8.28)
 リコーイメージング東京サービスセンターのピックアップリペアサービスを使ってメーカーで直接点検したこともあると説明。
電話で写真が暗く写ることを話した上で点検無料の範囲でお願いした)


⑤リコーの点検でも絞り羽異常(暗い写真になってしまう)は再現せず。
 その他の点検結果は
 ・ファインダー内にゴミあり清掃
 ・撮影素子面にゴミあり清掃
 ・オートフォーカス精度甘い 調整せず(有料なので)
 ・ペンタプリズムにクラックあり。今すぐ問題となるレベルではないとのこと。


カメラ郵送の際に『暗く写る場合あり』と書いたメモを入れておいたが、点検結果項目に該当するチェック項目は無かった。

購入後1年以内に2回点検に出したことになる....

⑥購入家電店へ3回目の点検依頼(2019.2.3)とる旨を説明。

直ぐに不具合が再現した。暗く映る場合と正常な場合の写真をその場で撮影してメモリーごと本体に入れたまま家電店経由で点検を依頼した。

⑦この際、家電店員さんへは、『5年延長保証に入っているので、この範囲で修理可能なら御願いします』と伝えた。

5年延長保証に加入したからには、この範囲内で出来る修理に限定して修理すべきと考えたからです。


⑧2019.2.26に家電店へ電話して状況確認すると2019.2.16に修理を開始したと情報を貰えました。

メーカーさんと家電店が契約している5年延長保証で対応可能と保険屋さんと合意できたらしい。

⑨2019.2.27に修理完了の電話あり、2019.2.28に受け取り完了予定です。

考察

私の場合は5年延長保証に加入し、且つ購入一年以内に症状が既に出始めたことを証明する1回目と2回目の点検依頼票がエビデンスとなり無償修理となったようです。

最近のK-S2はミラーレス一眼と比較すれば重量はありますが、良い写真がお気軽に取れますし、今後も末永く使っていきたいと思ってます。

又、Kシリーズのカメラでで写真が暗いという理由でジャンク品としてヤフオクで出品されている個体があったら、2000~3000円以下で落札してみたいです。

理由は分解して最下位の『参考とした記事』で紹介した先人の知恵を借りて自分で修理してみたいから... 変な性格ですね私。

PENTAX K-S2での発症は少ない?

K-S2というモデルでは発症件数は少ないようです。前モデル、前々モデルの販売台数に対して市場で売れた絶対数が少ないという事情だけかもしれませんが....

仮に部品が改善されてなく歴代ずっと部品共用だとすると、どの固体も一定の確率でいつかは発症する運命なのでしょか?

まとめ

  • 一眼レフは可動部があるので長期保証に入る方が良い
  • 今後買うなら可動部が少ないミラーレスが良い
  • 新製品なら性能が良くなっていると過信しない
  • 旧型類似品で慢性的な持病がないか調査が必要

参考とした記事


2019.2.28 追記

修理から帰ってきたKS-2の状態はプチプチで梱包されて丁寧に扱われていました。


もちろん、全て正常に動作しました。修理票をみると絞り制御ユニットの交換とペンタリズムの交換をしたとの記述があった。故障原因は絞り制御部の電気的な特性ずれと書かれていて、当たり障りのない表現となってました。





トータル\18651円が修理費用でした。
但し、5年延長保証範囲内ということで支払いは発生しませんでした。

2020年11月19日追記

WEBを閲覧しているとアメリカでは、設計上の欠陥だと主張する方々から集団訴訟が起こされているようです。対象機種に今回のK-S2は入っていませんでした。なぜ?(K-30・K-50・K-70が対象とのこと)

参考にしたサイト(Pentax Rumors)は英文なのでグーグル翻訳でページごと日本語にして読みました。

8 件のコメント :

  1. この故障は個人ではできません。
    センサーユニットを外すので、繊細な調整が必要です。
    またAFピントの調整も必要でメーカーの調整ソフトがないとできません。
    また絞り制御ユニットも一般には入手できません。
    メーカーに依頼しかありません。
    参考にAF式フィルム、デジタルカメラは全てコンピューターにて調整です。
    それにはメーカー調整ソフトが必要です。

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    1. 匿名さま

      貴重な情報ありがとうございました。
      (コメントに気づかず公開が遅くなってすみません。)

      やはり個人(素人)判断で手を付ける箇所ではないということですね。

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  2. k-s2を2015年に購入し、2017年にAF不良で回路基板の交換修理をしました。2019年屋内イベントで撮影した画像が真暗なため、修理見積依頼したところ購入後4年間で購入価格の約3割超の修理費になります。今後の新たな故障を考えると修理をするか迷っています。街中の風景とかイベントで使用するごく普通のユーザですが、この機種は電子系統の故障が多いのでしょうか?

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    1. 匿名さま
      コメント頂きありがとうございます。又、非定期でコメント欄をチェックしていた為、コメントに気が付かず申し訳けありませんでした。

      早速ですが、K-S2は性能や製品コンセプトが気に入り、量販店で安く手に入ったこともあり愛用しています。但し、巷では同様の不具合が多いように感じてます。

      K-S2だけが故障し易いかは私も素人なので分かりませんが、工業製品なので故障はゼロにできないのだろうと感じてます。 

      もし自分の持っているK-S2が再度故障したら.... たぶん修理に出さずに変え替えすると思います。自分の性格からすると一度は分解して疑わしき部品を手に取ってガン見しているかもしれません。(笑)

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    2. 返信ありがおうございます。
      このブランドはデジタル以前から愛用していたので修理か買替えかを悩んでいました。
      今回は修理し、修理後早々にもう一度故障したらメーカーを変え、ミラーレスにしたいと思います。

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    3. 匿名さま
      PENTAXブランドは私も大好きです。修理後は新品時の性能が維持できるといいですね~
      最近はスマホのカメラ能力が高すぎて、PENTAXだけでなくNIKONやCanonもカメラ事業の存続が心配な状況になってきました。存続可能なメーカーはカメラの老舗なのかSONYやPanasonic、FUJIといった新勢力か分からなくなってきました。

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  3. こんにちは。
    私のK-50もなりました。ヤフオクで処分しましたが・・・

    K-S2の修理方法の動画がありました。センサーを外したりすることはないみたいなので、再び壊れて、捨てるくらいなら試しに修理も挑戦されてみるのもいいかも?と思います。
    https://www.youtube.com/watch?v=3Dbz1f1WRJc

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    1. 匿名さまへ
      K-50もなっちゃいますよね! アメリカでは集団訴訟という話も聞こえてきますが、使用者の取り扱いに不備がないのに....

      あの部品が磁化してしまうという現象なら設計的に(抜本的に)対策して欲しいですね! 修理のYoutubeの情報ありがとうございました。

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ご理解頂ければ幸いです。