セルモーター(スターターモーター)のメンテナンス SRV250

SRV250のスターターモーターは入手可能

この記事は2019年1月30日の内容にセルモーターのメンテナンス詳細を追記したものです。


古いバイクは部品のバックアップ(Stock)を気する必要があると常々思ってます。
そんな訳で、セルモーターの予備品が我が家の秘密のクローゼットに保管してあります。

ここ数か月間においてはセルモーターの回る音が弱々しくなってきており、バッテリーを充電したりしていましたが、なかなか昔の元気のいい回り方をしてくれません。

エンジンの一発始動が稀になってから3~4ヵ月も経っていました。なぜ、直ぐにメンテナンスしなかったかと言いますと、押し掛けで簡単にエンジンに火が入るSRV250の優等生ぶりに胡坐(あぐら)をかいてました。

SRV250は押し掛けが全く苦も無くできてしまいます。(ウチのSRV250だけかな?)

さて、この土日は世間は自粛モード一色です。大きな顔して堂々とツーリングに行くことも気が引けることから、クローゼットにしまってある品と交換しようと思いました。 

但し時間もたっぷりあるので、まずは現状のセルモーター(スターターモーター)を分解清掃して、どこまで力強い回転が戻るか確認してみることにします。

モーター単体の概要説明

クローゼットに保管してあるセルモーターで概要を説明しておきます。
モーターから出ている端子は1本のみです。ここにスターターリレーの出力から接続された黒色のワイヤーハーネスが接続れます。電位でいうとプラス(+12V)電源側になります。

マイナス(-)側はモータ本体を2本で固定する部分とフレームが電気的に接続されてフレーム経由でバッテリーのマイナス端子と繋がります。

少しでも元気よくモーターを回したければ、より多くの電流が流れるようにすれば良い訳ですから12Vが接続される端子の接触面は錆が無い状態でネジ締めすることをお勧めします。

もし、皆さんのセルモーターの回転が弱々しかったら端子のボルトが緩んでいないか? 接触面が錆びてないか? を確認してみては如何でしょうか?

更に、電流経路が気になるかたはモーター本体のGND部位から直接バッテリーのマイナス端子に繋がる太いワイヤーハーネスを1本繋ぐとモータが元気に回ることでしょう!

バイクのフレーム経由で電流を流すよりも電流が流れやすくなり、モーターが元気に回りますよ。

でもSRV250は始動性が良好なので、そこまで拘らなくていいかな~って思います。

モーターを分解&消耗部位をメンテ

さて、本題に入りましょう!
モーターの分解清掃と内部の部品の消耗具合を確認していきます。 

『え! 分解なんて無理だしやりたくないよ!』という方は純正モーター以外にamazonとかでコピー品が売られているのでそちらをアッセンブリごと購入しても良いかもしれません。
そんなに高くはありませんがから..... 代替品はブログの最後で紹介してます。

モーター内部の構造は下記の通りです。 概要を知ってから分解する方が気持ちが楽ですよね~

絵では取付ネジが1本、ブラシが1本、本体を貫通するネジが1本ですが、SRV250やルネッサのモーターは2本ですのでお間違え無く!

メモ

スターティングモーター:4DN-81800-10
ブラシセット:50M-81801-M0
先端のOリング:93210-25711

セルモーターの取り外し

  • ゴムキャップを外すとネジがあります見えます。ネジを緩めてモーター端子から線を外します。
  • エンジン本体と2本のネジ(ボルト)でガッチリと固定されています。これも緩めます。
  • ゆっくりとモーター本体を手前に引っ張っていくとモーター本体ごと取り出せます。
モータ先端(軸部)に大きな力やコジリを発生させないようにして下さい。ギヤの欠けや軸ズレを防ぐためです。 そんなに繊細な部位ではないので心配し過ぎは不要です。(笑)  
モーター先端のギアはエンジン内部のギアと噛み合って、エンジンのクランクに回転力を伝達しています。

内部ギアの先にはワンウェイクラッチ(スタータークラッチ)というギアと連結されており、一方向の回転だけをエンジンクランク側に伝える機構を持った部品とつながってます。
ポン♪と外れたらモーター本体と御対面です。ここまでは難易度は高くありません。

モーターの軸先端とエンジンのギアとの接触面が広いような気がします。ちょっと嫌な予感がしますが今はモーターの分解と清掃に没頭しましょう!
先端側からボルト2本を外します。ボルトを抜く時はゆっくりと垂直に引き抜いてください。斜めにこじると内部の樹脂部分にダメージ与えて折ってしまうことがあります。 ちなみに私はやっちゃいました。特にモーターの性能に関わる部位ではありませんのでご心配なく。

最期に底面部を取り外しました。この順番で良いかは不明です。全て自己流ですのでDIYにチャレンジする人は自己責任でお願いします。

観察結果

  • 整流子の表面はブラシと接触して回転するので消耗分が表面にこびり付いて変色している。
  • ブラシと整流子の接触による摩耗でカーボン粉が堆積している。
  • ブラシの大きさは3.5mm以上あり。 実測5.8mmでした。
  • 整流子の外形(直径)は21.6mmで限界値21mm以上あり。
  • 整流子のアンダーカット(細い溝)は1.5mm以上あり。

メンテナンス内容

カーボンの粉を掃除して綺麗にする。その後に軸受け部に少量グリス入れました。

アンダーカット部はカッターの刃先で優しく堆積物を取り除きました。本来なら竹串や樹脂の先端等の非導体を使うべきです。

カッターの刃が折れて残ってしまうとショートしてしまいますので....よい子は横着しないようにお願いします。

万全を期したい方は溝に残ったカーボンを取り切る為に、掃除機で粉類を吸い取ってしまうと良いでしょう!
整流子の表面を1000番の耐水ペーパー使って磨く(銅を出して接触抵抗低減)
ブラシの面(凹R面)を綿棒等で強めに擦って綺麗にして1000番の耐水ペーパーで面を整えます。

またすぐに変色してきますので面を軽く整える程度でOKです。
表面がザラザラになっては滑らかな回転が得られません。

豆知識

過熱や異常な電気損失による摺動接点の損傷を避けるには、電圧降下は限りなく小さくすべきです。 被膜をなくして接触面(点)を広く、ブラシは適度な圧力で整流子と接触するのが理想の状態です。

ということで、ブラシを押し付けるバネを気持ち引っ張って少し変形させました。
ばね定数を大きくして(バネを少し強くして)おくのが目的です。

バネ長さに根拠はありません。(笑)
自分の感覚なのでバネを弄る方は自己責任でお願いします。(バネ長さ14→15mm)


ちなみに先ほど話した樹脂の折れた部位はここです。 
ネジを入れる時に位置決めする部位ですのでモーターの機能とは無関係です。

稀にこの樹脂部が経年劣化で折れて回転する部位と干渉してモーターの周りが悪くなっていた。もしくはロックしていたという事例もあるそうです。



復元方法

上記の分解の逆をやればいいわけですが、一番難関はバネを押し込んでブラシを引っ込めた状態で整流子をブラシに接触させながら納める作業です。(完成した状態)

私は小さなマイナスドライバーとか使って、なんとか収めることができました。

その後に筒状の本体を嵌めます。この時本体内部にS極とN極の磁石が貼ってあるので、不用意に組み付けると折角苦労して組付けた整流子とブラシの接続が外れてしまいます。

それを防ぐ為にモーター軸を上からしっかり押さえながら、磁石で上に引っ張られないように気を付けて筒を組み付けて下さい。(私は1度、これで失敗しました)

無事に筒部も組み付きました。 



最後に上から蓋?をしてボルトを2本締めて完了です。

おっと待った!! ボルトを締める前に大切な確認事項があります。
皆さんに大事なことを伝えていませんでした。

筒を入れたら筒を回して筒の表面にある線と端子が一直線になるように微調整して下さい。
そうしないと何が起こるか? 

『モーターが逆回転してしまいますよ』


ブログ主はこのことを知らなかったので(恥ずかしい....)、メンテ後にバイクにモーターを付けた後にモーターは快調に回れど、エンジンにその回転が伝達できない状態となりました。

モータが逆回転した場合は、スタータークラッチ(ワンウェイクラッチ)が正しい方向に回転せずに。クランクにモーター動力伝えれずにクランクが回りませんから....(爆)

ちなみに整備マニュアルでも注意事項として載ってました。

錆は嫌いだからお化粧しちゃえ!

モノタロウの耐熱スプレーシルバーでお化粧しておきました。
上出来、上出来 (だけど筒の線が.....)
筒の線を端子の位置と合わせ、SRV250Sに取付けた後は力強くセルが回るようになりました。

セルモーター互換品

純正品に拘らなければ各メーカーから互換品が出てます。端子形状が若干違うかもしれませんが、部品が無くなる心配は不要かもしれませんね。

ヤマハ XV250ビラーゴ (型式:3DM)
ヤマハ SRV250 ルネッサ (型式:4DN)
ヤマハ ドラッグスター250 (型式:VG05J)

等に適合するとのことです。

バイクのスターターリレーはヒューズ内蔵タイプ

右ハンドルにあるスタータースイッチを押すとリレー内部の接点が接触して(ONして)、セルモーター(スターターモーター)に電流を流します。

バイクは自動車と異なりバッテリー近くに単独のビューズボックスを設定できない(スペースが無い)場合があるので、メインヒューズがスターターリレーに内蔵されたりしています。 

このタイプのリレーは自動車用リレーでは見ることは稀ですね! 驚くべきことにヒューズが切れた時の交換用予備ヒューズも備わってます。

ここからは推測ですが、リレー裏面には文字”M”と”B”が表示されてます。このリレーは内部構造を少し変えるとブレーク接点も使えるリレーとなるようです。

スターターの通電用”メイク接点”のみがSRV250では使われており、 他のバイクのシステムでは”ブレーク接点”を設定して使えるようになっておりいるのでしょう!

多分、予備用フューズ置き場はブレーク側接点ありのリレーでは、ブレーク側接点の機能するFUSEとして使われるのだと思います。 機会があればリレー内部を分解してみたいです。(笑)

リレーは丈夫な部品なので、簡単には故障しませんが、長年放置されたりすると、リレー接点の表面が酸化して導通不良になることもあります。

スタータースイッチを押して、カチっと音がするのにセルが回らない場合はこのリレーが故障(接点の導通不良)か、セルモーターが故障したかのどちらかになります。

バッテリーが劣化して、モーター始動時の突入電流が十分に供給できないと、リレー接点の酸化膜を十分除去でずに導通しない場合もあります。

セルモータへのアージング効果

セルモーター(スターターモーター)をメンテしてリビルドしたことで、以前よりも元気にモーターが回るようになりました。ついでにアージングも施しておきました。(実施日:2020年5月2日)

アーシングとはバイクや自動車で行われる電流経路のマイナス側をフレームやボデーに頼らずに、太いワイヤーハーネスでバッテリーのマイナス端子に直接接続して電気抵抗を減らし、電流を流れやすくするという手法です。 

モーターへの電流増えれば、モーターの発生トルクも大きくなるので指導性が向上するという考え方になります。 SRV250は始動性の良いエンジンなので不要という話もありますが....

モーター側の接続箇所


引き回しとしてはエンジン右側を通って、リアバンクの後ろ側へ太い線を這わせてます。エンジン近傍やリアバンクのエキパイに近い部分を通すので、熱対策をしました。

方法としては見栄え少し気にしつつ(笑)、アルミのジャバラ状の金属パイプを保護カバーとして追加しました。 カメラを構えるブロブ主が写っているのはお許しを!

リアバンクの後ろから、車体左側のバッテリーまで引っ張ります。バッテリーのマイナス端子と直結しています。 

走行して追加したアーシング線が変な共振で降られてエンジンと擦れたりしないか暫くは様子見しながら走行することにします。 ヤバそうならタイラップかステンレスの針金で固定することにします。

ワンウェイクラッチとは

ワンウェイクラッチとはエンジンクランク回転数とモーター回転数の差によって
  • エンジンクランク回転数<モーター回転数 ならモーター駆動力がクランクに伝達される。
  • エンジンクランク回転数>モーター回転数 ならモーター駆動力がクランクに伝達されない。
機構のクラッチです。文字のごとく一方向のみ伝達するクラッチです。
(自転車ペダルを漕ぐ際に逆回転だと力が後輪に伝達されないのと似た機構です。)

このおかげでエンジンが動いているときに誤ってセルモータースイッチを押してセルモーターが回ってもモーターが壊れたりすることはありませんし、走行時にモーター側にエンジンクランクの力が加わったりしないわけです。

モーターが逆回転してしまうとワンウェイクラッチはいつまでたってもエンジン側にモーター駆動力を伝達することはないわけです。

フライホイールの裏側に取り付けられています。


私がおバカさんだったので、当初はモーターの逆回転に気が付かずにワンウェイクラッチがダメになったと思い込んで1時間悩みました。 

セルモータが動いても空回りしたような音が出ていたので、

『セルモーターじゃないぞ!』

『ワンウェイクラッチが原因なら右クランク分解とフライホイール脱着で大手術じゃないか....』

『やばいぞこれは..』

と塞ぎこんでいました。(笑)



ワンウェイクラッチ SRV250のヤマハ品番:51Y-15590-01 となります。 
1万円くらいの部品です。他のバイクと共通部品となってます。

共通部品
 SRV250
 ルネッサ
 SRX250
 XV125ビラーゴ
 XV250ビラーゴ
 ドラッグスター125
 ドラッグスター250



分解整備っていってもエンジン開けるのはハードル高し....


おまけ

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