タイガー魔法瓶製コーヒーメーカーの修理 ACW-08E4 

スタンレス製サーバーが魔法瓶?

水筒でお馴染みのタイガー魔法瓶というメーカーを知っている人は多いと思います。それほど保温する技術においては国内トップクラスの企業です。

但し、タイガー製のコーヒーメーカーがあることを知っている人は少ないのかもしれません。実は家では2010年から、タイガー製コーヒーメーカーを10年使っています。
型式:ACW-08E4 という商品です。

数多くのコーヒーメーカーがある中でタイガー製を選んだ理由はステンレス製の魔法瓶が付いてくるというだけの理由です。

そう、このコーヒーメーカーは抽出したドリップコーヒーの保温を電気ヒーター等で保温し続けるのではなく魔法瓶で保温する思想で作られた物なのです。

今でこそコーヒーを受けるボトルがステンレス製で真空構造を使った保温タイプのものは沢山あります。但し、10年前は殆どなく技術的に信頼できるタイガーのこの商品を選択したのでした。

電気ヒーターで保温し続けるとコーヒーの風味が抜けていくし、電気エネルギーの無駄でもあります。魔法瓶で保温という思想にちょっと惚れてしまったわけです。

一度に8人分のコーヒーを作れるという特徴もありますが、この恩恵に預かったのは10年間で10回もありませんので選択肢としては外しても良かったと今は思ってます。(爆)

保温性は永久か?

ステンレスを使った2重構造で真空エリアを作り出し、外部と熱交換を極力低減して保温する方式は水筒でお馴染みの技術です。

10年間も壊れることなく元気に毎日働いでくれてます。(笑)
但し、最近は休日に朝作ったコーヒーを1~2時間後に飲もうとすると、コーヒーがぬるくなってしまうことに気づきました。まあ冬場の寒い時期なので悪条件だということを考慮しても新品当時の保温性がありません。

よくよく観察してみると、コーヒーをドリップする際に上部のドリッパーから押されて凹む部分がボトル上部にあるのですが、ここから周期的に音が聞こえてきます。5~6秒に1回位の頻度で『プシュ♪ プシュ♪』ていう音がね~

蓋の中心部にある突起がピクピク動きながら音がしています。
思い起こせば新品時は音は発生してませんでした。想像するに内部のパッキンの劣化等でコーヒー内部と外部を遮断する部位が機能しなくなっているのでしょう!

タイガーのホームページ等で調べると送料込みで2000円以下で蓋部分が購入できるようです。楽天やアマゾンで検索してみるとヒットしました。蓋の型式:ACW08E4です。

しかしながら分解オタクのブロブ主!
どんな構造か確かめてから発注しようと心に決めて分解開始です。(笑)

蓋の分解! 意外と構造は簡単

もともと取扱い説明書にボトルの蓋部分は3ピースに分解可能と書いてあります。
下記状態までは分解して清掃できるようになってます。衛生的でGoodですね~
ところが肝心の音が出ている凸部には到達不可能! 『これ以上の分解はできません』との注意書きが取扱説明書に記載があったような気がします。

いやいや、そんなはずはありません。(キッパリ)
工業製品なんですから組付けができたなら分解もできるはず!

組付け部分が溶接やカシメ、圧入や接着なら素人が分解すべきではありませんが、どうやらゴムパッキンをはずせば更に分解可能と推測できます。

だからやっちゃいました。(笑)

ステック先端からゴムパッキンを外せ!

難しいことは全くありません。ゴムパッキンに亀裂が入らない程度の力で引っ張って樹脂製のステック先端凸形状より穴を広げてながら抜ける方向に引っ張ると、簡単にパッキンが外れました。

こうすることで更に分解が可能となって、パッキン類、樹脂製の棒、コイルスプリング、ドリップ入り口(凸部)、ゴム栓等に更に分解可能でした。
パッキンはコーヒーにより若干着色されて変色がありますが、ゴム本来の柔軟性も残ってますし亀裂もありません。

そうすると、このパッキンを蓋裏に押し当ててる力が何らかの原因で不足し始めて、内部の高温水蒸気が漏れてきていると予想されます。

試しにコイルばねを少し引っ張って全長さを増してみます。狙いはバネを変形させることでバネ定数を大きくして、パッキンを蓋裏に押し当てる力を増加させる。ということです。

効果確認前にパッキン部の密着性や隙間をチェック、レバーを押し下げた際は隙間ができてコーヒーの通り道ができます。レバーを戻した際はパッキンがしっかり密着して液体も気体も漏らさずピッタリと塞いでいますね~

効果は如何に?

上手くいきました! 狙い通りでしたよ~ オマジナイを掛けておいたバネを組付けて元通りに蓋をリビルドしてドリップした後、数時間確認してみました。
一度もあの音『プシュ♪ プシュ♪』が聞こえることはありません。修理成功ですね!

熱い内部の気体がステンレスボトル内部でちゃんと密閉されている状態がバネを強くしたことで維持できるようになったと考えます。

そして2時間経った後にボトル内のコーヒー飲んでみましたが、今までとは比べ物にならない程、熱いコーヒー(※)が飲めました。

冬場でもステンレスボトルに一度お湯を入れておいて内部とボトルを温めた(前処理)後に、通常のコーヒーをドリップすると半日は許容範囲の温かさでコーヒーが飲めるようになりました。

2000円弱出して新品の蓋一式を購入するまでもなさそうです。
今回は金額に拘って修理した訳でなく、単純に構造が知りたかっただけですが...(笑)

最新機種

特に新しいモデルが毎年出るわけではないようです。ブロブ主が持っているタイプは流石に10年前なので継続販売していませんが、後継機種は出ているようですね~
 

スイッチが入らない!

このコーヒーメーカーはスイッチが入らないという不具合が発生することが稀にあります。スイッチ部分はモーメンタリースイッチでONした時だけON信号を発生させる構造です。

スイッチ接点が一旦ONすると内部基板に実装されている24VリレーがONラッチする回路構成でした。
タンクに入れた水が全てドリップすると、内部ヒーターの温度が急上昇するのをセンサーが検知してラッチしたリレーがOFFしてスイッチも自動でOFFとなる仕組みなのでしょうか?

今回は深追いしませんよ~ 素人が回路を追って読み取っただけなので少し違ったらすみません。(笑)

ちなみにドリッパー上部の蓋が閉まっていることを検知するスイッチもあるようで、蓋が開いた状態ではスイッチを受け付けてくれません。

実は蓋が閉まった状態でもスイッチ押しても全くスイッチが入らない状況になり、いろいろ調べた上でスイッチの接点部分の不具合が原因じゃないかと考え分解してみました。

スイッチ内部では接触部分(接点)が変色しており、導通性能が確保できてない状態と思われたので分解ついでに接点部分を清掃しておきました。

以後、スイッチが入らないという不具合は発生しておりません。

ちょっとだけ手を掛けて清掃や接触部の導通確保をするだけで、まだまだ使える家電製品が世の中には沢山ありそうですね~

但し、分解清掃はあくまでも自己責任となりますのでお忘れなく!
分解方法だけ紹介しておきますね~

分解手順

1.裏底の金属板(亜鉛メッキ鋼板)を取り外す。
ネジ6本を外せばOKです。

2.プラスドライバーで基板が見える側の奥にあるネジ(下写真の黄色の〇印)を取り除く
基板が引き出せますので内部基板のヒューズが切れ有無確認はこの作業が必要です。
基板を見ると交流電源をツェナーと抵抗とコンデンサーを使って24Vの簡易直流電源を作り出し、プリント板(基板)上のリレーをONさせている回路です。

一旦、ONするとON状態を継続し交流電流をヒーターに流し続けるのですが、ドリッパー近傍にあるセンサーの温度を検知しながら一定条件が成立するとリレーコイル電流をトランジスタがOFFする回路です。(推定)

ヒーター部分はネジ2本外せば引っこ抜くことができます。こちらのヒーターは交流100Vで駆動されますので強力なパワーを受けることになります。
ドリッパーを支えるすり鉢状のガイド部は3箇所のゴム栓を取り除くとネジ山が見えますのでネジを緩めればすり鉢ごとスポット抜けます。

下記の写真は抜けたガイド部を裏から撮影したものです。
赤と黒の線の先にはセンサーでしょうか?(サーミスターかな?)

過昇時は電気的導通が無くなって基板側にオフ信号が伝わって安全装置として働いているのでしょうか?
ゴム栓には刻印A,B,Cの表示があります。つまり微妙にサイズが異なる3個なのでゴム栓がその位置にあったかのかはメモした上で分解した方が無難ですね!

基板を引っこ抜くことができると、スイッチ部を裏から触れるようになります。スイッチは
表側から嵌め込む構造です。嵌るとエラが張ってロックする構造なので、裏からこのエラを押し込んで引っかかりをなくしながら、押すとスイッチ部を取り出すことができました。
スイッチパネルの表面はシーソー構造の可動部があります。シーソーの軸となっている2カ所をマイナスドライバーで抉ると、操作部が外れて中を確認することができました。

ちなみにスイッチの表面が汚れているのはカミさんがガムテープでスイッチを固定しようとした痕跡として粘着物が残ったものです。

見栄えが悪いので奇麗に取り除きました。住友3Mのスプレークリーナーを使えば簡単!。
取り外したスイッチパネルと内部の接点も念の為に表面を清掃しました。ついでに消耗した接点部と相手側接点部がしっかり接触するように飛び出してきた金属の形状も少しだけ加工して擦り合わせを良くしました。
相手側スイッチの接点はご覧の通り奇麗です。
スイッチパネルがシーソーのように動くときにスプリングと金属の凸部(写真下側の3部品)が金属板(写真上側の1部品)を押して接点同志が接触する構造です。
以上の気になる点を一通り処置した後はスイッチ系統も新品同様の動作確認ができました。
めでたし! めでたし!(笑)

Youtubeで蓋のお手入れ方法がTIGER公式動画としてアップされてますので参考にどうぞ!

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