TUNE ECUとOBDⅡでO2センサーの状態確認 TIGER800

 タイガー800の排ガスが臭い

我が家のタイガー800は最近めっきり出番が少なくなってしまった。数か月前に北米から帰任してきたバイク仲間のYDさんにタイガーをお貸しして、九州ロングツーリングに無理やり送り出しタイガーの御機嫌伺をしている始末です…

そんな訳でなんとか2年間で約4500kmほどの走行距離となりそうです。ブログ主自身がロングツーリングから遠ざかったのがタイガー隠居の主たる理由かな~。(笑)

さて、なぜ2年で4500kmとか書いたかというと、2月末~3月初旬にユーザー車検の受検を計画しており、書類類を記入していると走行距離など気になってくるのだった。

車検場の排ガス測定プローブは正しかったのかも

話は変わりますが、実は2年前のユーザー車検で廃ガス検査に3回落ちたという記事を書いて以来、心に引っ掛かっているいることがあります。

それは、『TIGER800の排ガスは入庫当時よりもガソリン臭いかもしれない』ってこと。やっぱ燃調が濃い感じがしています。

燃調が濃いということは、噴射するガソリンに対して酸素量(O2)が少ないということなので、ガソリンが燃えきれない状態の排ガスとなっているはずです。

そして、TIGER800は最近燃費がガクッと悪くなってきた気がします。混合気が濃くなってガソリンを必要以上にインジェクションから噴射している気がするのです。

ガソリン多めで混合気が濃ければ2年前に車検場でCOが8%という目玉がびっくりするほどの数値を出し、不合格となったことも理屈に合います。

但し、あの2年前の車検当日に近くのレッドバロンで排ガス計ったら1%以下だったという事実もあったことから下記の根拠なき結論を強引に導きました。

根拠なき勝手な結論

たまたま車検場の排ガス検査プローブの調子と極寒の早朝が重なって、エンジン冷え冷えだったから、それが排ガスのCO増加の原因だ!

そう言い切って、自分で自分を納得させていましたが、本当にそうだったのでしょか? 根拠もなく片付けた反省と根本原因を追究しておかないと、数週間後のユーザー車検で3回排ガスNGの悪夢の再来となりかねません。

ちょと冷静な今の時期だからこそ、ツールを使って原因究明をしておきます。

TUNE ECUで調べてみよう

酸素が少なく燃調が濃い状態なら、エアクリーナーを掃除するとか、点火を担うプラグを交換するとか、ガソリンを噴射するインジェクションの詰まりをとるケミカル剤(ヒューエルワンとか)の合わせ技で対応するのも一案です。

但し、前回の車検上で表示されたCO8%が本当の値だったとすると、車検場から離れたレッドバロンでの測定時は1%以下という結果と矛盾します。

もしかすると、タイガーのO2センサーが故障し始めていたので、燃調が上手く調整できるときと、できないときがあった? というシナリオも考えられます。

もっと早く確かめてみてもよかったのですが、TUNE ECUというソフトとOBDⅡのトングルを使って、O2センサーの出力電圧をモニターしてみました。

O2センサー反応なし?

まずはイグニッションON(キーON)状態です。Oxygen Sensor Voltage に着目してみましょう! 電圧は0.00V まだエンジンが掛かってないからこの値なのでしょうか?次に、エンジンONです。Oxygen Sensor Voltage:0.015Vが表示されてます。え! ちょっと予想と違います。エンジンが掛かってないCold Start(冷間始動)では、最初は燃調が濃い状態から始まって、燃調が徐々に薄い方向に調整されていくはず。

理想的な燃調の混合比は、燃料1単位に対して空気14.7単位を混合する、空燃比14.7:1です。

この混合比では、燃料と空気が完全に反応し、ほとんどの燃料が燃焼して、COや未燃炭素化合物、窒素酸化物が極力少なくなるとされています。

そして、O2センサーは通常は理想燃調付近を0.5~0.6Vとして濃い状態を検出すると高い電圧値、薄い状態を検出すると低い電圧値を出すのが一般的です。

  • 濃い状態:1V近辺
  • 理想状態:0.5~0.6V
  • 薄い状態:0.01V近辺
エンジン始動直後でTIGERから出る排ガスはガソリン臭い(=濃い状態)にも関わらず、O2センサーは混合気が薄い状態を示す電圧値を出力しています。

一般的にはO2センサーは600℃以上の雰囲気に晒されないと、正常なセンサー能力を発揮しないので、少し暖気して数値が変化するか待ってみました。

結果はダメですね。
どれだけ暖気しても、スロットルを煽ってみてもOxygen Sensor Voltage:0.015V
のままの表示が変わりません。
確定診断が出ました。O2センサー異常です。最初はO2センサーに内蔵されたヒーター部が故障したかと思いましたが、少なくとも相当な暖気時間を取った後に回転数を1200~4000とか変化させてガソリン噴射量を変動させれば、0.015Vから少しは値が振れるはずです。

センサーの故障か? もしくはセンサーは正常でセンサーからECU(ECM)への信号線が断線しかかっている可能性大と推定します。ちなみに、Oxygen Sensor Heaterはグリーンマークが表示されており、機能正常となってます。

O2センサーの配線を確認

O2センサーから延びる配線を確認するにはエンジン下のアンダーガードを取り外す必要があります。ササっと外します。 コネクタ外して
アンダーガードと取り付けボルトに隠れていた配線が、あちゃー

確認すると… ガーン!!! やらかしてます。
アンダーガードとエンジンの取り付けボルト付近でハーネスを圧縮してしまうという、とんでもないミスを犯していたようです。(ガード取付の様子はこちら

ハーネス4本のダメージは如何に?

ちなみに、白2本はヒーターのパワー線です。極性ありません。
黒色はアース線です。灰色はセンサーの出力線です。
灰色の線の被覆が薄くなっている部分がバイクのフレームアースとレアショートしていたような痕跡が確認できました。
念のため4本全てにおいて、コネクタ側からと、圧縮破損させてしまったハーネス部位の向こう側(センサーに近い側)に針を刺して導通確認したところ、全て導通ありでした。
つまり断線は無かったということです。

そうなると目視観察で見つかったフレームとのレアショートで限りなく0Vに近い出力0.015が測定されたのも理に叶います。

このレアショートでO2センサー事態が故障に至っていなければ良いのですが…
レアショート部を養生して絶縁を完璧に仕上げた状態でコネクタ部を再接続します。

そして、エンジンスタート!

Oxygen Sensor Voltage:1.275V です。
エンジンはCold Start状態です。混合気は濃い状態から始まっているはずです。そして、電圧値は1Vを超えており、濃い状態を示しています。

実際に排気ガスもガソリン臭が少し感じられて、濃い状態(排ガスにCO多い状態)と実機確認と合致してます。
すぐにECUが濃い状態というセンサー信号に基づいて混合気を薄くする。燃料噴射を少なくする方向にインジェクションを制御し始めました。
Oxygen Sensor Voltage:1.275V ⇒ 0.895v と制御しています。
さらに、薄く薄くリーンな方向に噴射制御を続けているようです。
Oxygen Sensor Voltage:0.795v ⇒  と制御しています。
もうこの辺りまでくると、排ガスの匂いもほぼ無臭です。
そこで、スロットルを数回煽ってエンジン回転数を急激に変えたりしてみると、それに合わせてO2センサーからの出力電圧が0.115Vとか表示することが確認できました。
つまり、リニア制御がされている状態と推定できます。
ということで、アンダーガードを取り付けするときにやらかしてしまった為、O2センサーの新規購入やむなしと一旦あきらめたものの、レアショートという修復可能な不具合にとどまっていたため、このまま問題なくO2センサーが機能できる目途が立ちました。

本当にCOが削減できたかは(理想燃調制御ができているかは)数週間後の車検本番で判明することでしょう! 原因究明した自信はあるけど、ドキドキ感が当日半端ないと思います。(笑)

4倍速編集でブレブレ動画で申し訳けありませんが、チェック時の動画をアップしておきます。こういった作業をしていると昔の楽しかった職場を思い出します。
回路設計やら制御やら楽しいですね~ 

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